五十肩が両肩に同時に発生するなんて、想像するだけで不安になりますよね。でも、ご安心ください。この記事を読めば、五十肩が両肩に起こる原因やメカニズム、そしてその対処法まで、具体的な対策を学ぶことができます。五十肩の症状や正式名称といった基本的な知識から、加齢や姿勢、生活習慣、ホルモンバランス、遺伝など、様々な要因を詳しく解説しています。さらに、五十肩と間違えやすい病気についても触れているので、ご自身の症状を正しく理解し、適切な対処に繋げることができます。五十肩の予防法も紹介しているので、健康な肩を維持するための具体的な方法も分かります。
1. 五十肩とは?
五十肩とは、40歳代~60歳代に多く発症する肩関節の痛みと運動制限を特徴とする疾患です。肩関節周囲炎とも呼ばれ、明確な原因が特定できない場合も多いですが、加齢に伴う肩関節周囲の組織の炎症や変化が主な要因と考えられています。肩の痛みだけでなく、腕を上げたり回したりする動作が困難になるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
1.1 五十肩の症状
五十肩の症状は、大きく分けて3つの時期に分けられます。
時期 | 症状 | 期間 |
---|---|---|
急性期(炎症期) | 安静時にもズキズキと痛む、夜間痛が強い、肩を動かすと激痛が走る | 数週間~数ヶ月 |
慢性期(拘縮期) | 痛みはやや軽減するが、肩関節の動きが悪くなる(拘縮)、髪を結んだり、服を着るのが困難になる | 数ヶ月~半年 |
回復期(回復期) | 痛みと動きの制限が徐々に改善していく | 数ヶ月~1年以上 |
これらの時期は必ずしも明確に区別されるわけではなく、個人差があります。 また、症状の程度も人によって様々です。軽い痛みを感じる程度の人もいれば、日常生活に大きな支障が出るほど重症化する人もいます。
1.2 五十肩の正式名称
五十肩の正式名称は、肩関節周囲炎です。これは、肩関節周囲の組織(腱、靭帯、関節包など)に炎症が起こることで、痛みや運動制限が生じる状態を指します。「五十肩」という名称は、50歳前後で発症することが多いことから一般的に使われている俗称です。 実際には40代から60代で発症することが多く、70代以降に発症することもあります。また、40歳未満で発症する場合は、二次性凍結肩と呼ばれることもあります。これは、外傷や手術などが原因で発症するものです。五十肩は自然に治癒していくこともありますが、適切な治療を行うことで、症状の改善を早め、後遺症を残さないようにすることが重要です。
2. 五十肩が両肩に起こる原因
五十肩は、片側の肩に発症することが多いですが、両肩に同時に、あるいは片側が治った後に反対側の肩にも発症することがあります。なぜ五十肩が両肩に起こるのか、その原因を探っていきましょう。
2.1 加齢による組織の老化
加齢に伴い、肩関節周囲の筋肉や腱、靭帯などの組織は弾力性を失い、硬くなっていく傾向があります。この老化現象は、五十肩の主な原因の一つと考えられています。肩関節の柔軟性が低下すると、関節の動きが悪くなり、炎症が起こりやすくなります。両肩とも同じように老化が進むため、両肩に五十肩が発症する可能性が高まります。
2.2 肩関節の使いすぎ
日常生活や仕事、スポーツなどで肩関節を過度に使用すると、肩関節周囲の組織に負担がかかり、炎症や損傷を引き起こす可能性があります。例えば、重いものを持ち上げたり、繰り返しの動作を行う作業に従事している人は、五十肩のリスクが高まります。両肩を同じように使うことが多い場合、両肩に五十肩が発症しやすくなります。
2.3 姿勢の悪さ
猫背や巻き肩などの悪い姿勢は、肩甲骨の位置がずれ、肩関節の動きを制限し、負担をかける原因となります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、現代人の生活習慣は姿勢が悪くなりがちです。姿勢の悪さは、肩関節周囲の血行不良も招き、五十肩の発症リスクを高めます。悪い姿勢は両肩に影響を与えるため、両肩に五十肩が起こる可能性があります。
2.4 ホルモンバランスの変化
特に女性は、更年期にエストロゲンの分泌量が減少することで、肩関節周囲の組織が弱くなり、炎症が起こりやすくなると言われています。ホルモンバランスの変化は、閉経前後の女性に多く見られるため、この時期に五十肩を発症する女性が多い理由の一つと考えられています。ただし、ホルモンバランスの変化は両肩に均等に影響を与えるため、両肩に五十肩が起こる可能性を高める要因となります。
2.5 糖尿病などの基礎疾患
糖尿病などの基礎疾患があると、血液循環が悪化し、肩関節周囲の組織への栄養供給が不足し、修復機能が低下する可能性があります。そのため、糖尿病患者は五十肩を発症するリスクが高いと言われています。また、糖尿病は末梢神経障害を引き起こすこともあり、肩の痛みやしびれを感じやすくなるため、五十肩と似た症状が現れることもあります。
2.6 ストレス
ストレスは自律神経のバランスを崩し、筋肉の緊張を高め、血行不良を引き起こす可能性があります。肩関節周囲の筋肉が緊張すると、肩の動きが悪くなり、痛みが出やすくなります。強いストレスを感じている人は、五十肩になりやすい傾向があると言われています。
2.7 遺伝的要因
五十肩の発症には遺伝的な要因も関わっていると考えられています。家族に五十肩になった人がいる場合、自身も五十肩になりやすい可能性があります。遺伝的な体質は両肩に影響するため、両肩に五十肩が発症するリスクを高める可能性があります。
3. 両肩に五十肩が起こるメカニズム
五十肩は、肩関節周囲の組織の炎症や癒着が原因で起こりますが、両肩に五十肩が起こるメカニズムには、いくつかの要因が考えられます。
- 炎症の波及:片側の肩に炎症が起こると、その炎症が反対側の肩にも波及し、両肩に五十肩が発症することがあります。
- 代償性作用:片側の肩に痛みがあると、無意識に反対側の肩に負担をかけてしまい、結果的に反対側の肩にも五十肩が発症することがあります。
- 全身的な要因:加齢やホルモンバランスの変化、糖尿病などの基礎疾患、ストレス、遺伝的要因など、全身的な要因が両肩に五十肩を引き起こす可能性があります。
これらの要因が複雑に絡み合い、両肩に五十肩が発症すると考えられています。
4. 五十肩になりやすい人の特徴
五十肩は誰にでも起こりうるものですが、特に以下の特徴に当てはまる方は注意が必要です。複数の要素が重なることで、発症リスクはさらに高まります。
4.1 年齢
五十肩は、その名の通り40代~50代に多く発症します。加齢に伴い、肩関節周囲の組織が老化し、炎症や痛みを生じやすくなるためです。60代以降の発症も珍しくはありません。40代や50代に差し掛かった方は、肩の異変に気を配り、早期発見・早期治療を心がけましょう。
4.2 性別
五十肩は女性に多く見られます。女性ホルモンの変動が肩関節周囲の組織に影響を与え、炎症を起こしやすくすると考えられています。特に更年期を迎える女性は、ホルモンバランスの変化が大きいため、五十肩のリスクが高まります。
4.3 仕事内容・生活習慣
4.3.1 デスクワーク
長時間同じ姿勢でのデスクワークは、肩関節周囲の筋肉を緊張させ、血行不良を招きます。肩こりや猫背になりやすい方は、五十肩のリスクが高まるため、こまめな休憩やストレッチを心がけましょう。
4.3.2 運動不足
運動不足も五十肩のリスクを高める要因の一つです。適度な運動は、肩関節周囲の筋肉を強化し、柔軟性を保つのに役立ちます。運動習慣のない方は、軽い運動から始めて、徐々に運動量を増やしていくことをおすすめします。
特徴 | 詳細 | 予防策 |
---|---|---|
40代~50代 | 加齢による組織の老化で発症リスクが高まる | 定期的なストレッチや適度な運動 |
女性 | 女性ホルモンの変動が影響 | ホルモンバランスを整える生活習慣 |
デスクワーク中心の人 | 長時間同じ姿勢で肩関節周囲の筋肉が緊張 | こまめな休憩とストレッチ、姿勢改善 |
運動不足の人 | 肩関節周囲の筋肉が弱くなりやすい | 適度な運動習慣を身につける |
これらの特徴に当てはまる方は、五十肩の予防を意識することが大切です。日頃から肩関節周囲の筋肉をストレッチで柔軟に保ち、適度な運動を心がけましょう。また、正しい姿勢を維持することも重要です。バランスの良い食事や十分な睡眠も、健康な身体を維持し、五十肩の予防に繋がります。
5. 両肩に五十肩が起こるメカニズム
五十肩は、片側の肩に発症することが多いですが、両肩に同時に、あるいは時間差で発症することもあります。なぜ両肩に五十肩が起こるのか、そのメカニズムをいくつかの観点から解説します。
5.1 左右同じ動作による負担
日常生活や仕事で、両肩に同じように負担がかかる動作を繰り返していると、両肩に同時に五十肩を発症することがあります。例えば、重い荷物を両手で持ったり、パソコン作業などで長時間同じ姿勢を続けたりすることで、肩関節周辺の組織に負担がかかり、炎症を起こしやすくなります。
5.2 体の使い方の癖
体の使い方に癖があると、無意識のうちに左右どちらかの肩に負担をかけていることがあります。例えば、カバンをいつも同じ側の肩にかけていたり、姿勢が悪く左右のバランスが崩れていたりすると、片側の肩に負担が集中し、五十肩を発症しやすくなります。そして、もう片方の肩も同様に負担がかかりやすい状態になっているため、時間差で五十肩を発症する可能性があります。
5.3 加齢による変化
加齢とともに肩関節周辺の組織は老化し、柔軟性や弾力性が低下していきます。この老化現象は左右の肩で同時に進行するため、両肩に五十肩が起こりやすくなります。特に、40代以降は肩関節周囲の組織の老化が顕著になるため、五十肩の発症リスクが高まります。
5.4 ホルモンバランスの変化
女性ホルモンであるエストロゲンは、肩関節周辺の組織の修復や炎症抑制に関与しています。閉経後、エストロゲンの分泌量が減少することで、肩関節の炎症が治まりにくくなり、五十肩を発症しやすくなると考えられています。更年期を迎える女性はホルモンバランスの変化によって両肩に五十肩が起こる可能性があります。
5.5 基礎疾患の影響
糖尿病などの基礎疾患があると、血液循環が悪化し、肩関節周辺の組織への栄養供給や老廃物の排出が滞りやすくなります。そのため、炎症が慢性化しやすく、五十肩のリスクが高まります。糖尿病は、末梢神経障害を引き起こすこともあり、肩の痛みやしびれなどの症状を悪化させる可能性があります。
5.6 炎症の波及
片側の肩に発症した五十肩の炎症が、もう片方の肩に波及することもあります。これは、炎症を引き起こす物質が血液やリンパ液を介して全身に広がるためです。炎症が波及することで、両肩に五十肩の症状が現れることがあります。
5.7 生活習慣の影響
生活習慣 | メカニズム |
---|---|
運動不足 | 肩関節周囲の筋肉が衰え、肩関節の安定性が低下し、負担がかかりやすくなるため。 |
デスクワーク | 長時間同じ姿勢を続けることで、肩関節周辺の筋肉が緊張し、血行が悪くなるため。 |
冷え性 | 血行不良により、肩関節周辺の組織への酸素や栄養の供給が不足し、炎症が悪化しやすいため。 |
ストレス | 自律神経のバランスが崩れ、筋肉の緊張や血行不良を引き起こし、肩関節の炎症を悪化させるため。 |
これらの要因が複雑に絡み合い、両肩に五十肩が発症すると考えられています。五十肩は自然に治癒することもありますが、両肩に発症した場合、日常生活への影響が大きいため、早期に適切な治療を受けることが重要です。
6. 五十肩と間違えやすい病気
五十肩は他の肩関節の疾患と症状が似ていることが多く、自己判断で五十肩だと思い込んでいると、適切な治療の開始が遅れてしまう可能性があります。五十肩と間違えやすい病気には、次のようなものがあります。
6.1 頸椎症
頸椎症とは、加齢などに伴い頸椎(首の骨)が変形したり、椎間板が変性したりすることで、神経や血管が圧迫され、肩や腕、手に痛みやしびれなどの症状が現れる病気です。五十肩と同じように肩の痛みや運動制限が起こるため、間違えやすい病気の一つです。頸椎症の場合、首を動かすと痛みが強くなる、腕や手にしびれがあるなどの症状が見られることがあります。五十肩との鑑別のためには、整形外科を受診し、レントゲン検査などで頸椎の状態を確認することが重要です。
6.2 腱板断裂
腱板とは、肩甲骨から上腕骨頭につながる4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の総称です。腱板断裂は、これらの腱が切れてしまう病気です。転倒などの外傷がきっかけで起こることもありますが、加齢による腱の変性によって起こることもあります。腱板断裂では、肩の痛みや腕を上げにくくなるなどの症状が現れ、五十肩と同様に夜間痛が強い場合もあります。五十肩との大きな違いは、腱板断裂の場合、他動的に腕を上げてもらうことはできるが、自分では腕を上げることが難しい場合があるという点です。また、断裂の程度によっては、手術が必要になることもあります。
6.3 石灰沈着性腱板炎
石灰沈着性腱板炎は、腱板にリン酸カルシウム(石灰)が沈着し、炎症を起こす病気です。原因は明らかになっていませんが、肩の使いすぎや血行不良などが関係していると考えられています。激しい痛みを伴うのが特徴で、痛みは夜間や安静時にも強く、突然発症することもあります。五十肩と同様に肩の痛みや運動制限が起こりますが、石灰沈着性腱板炎の場合は、レントゲン検査で石灰の沈着を確認できるという特徴があります。
疾患名 | 主な症状 | 特徴 |
---|---|---|
五十肩 | 肩の痛み、運動制限、夜間痛 | 自然に治癒する傾向がある |
頸椎症 | 肩や腕、手の痛みやしびれ、首を動かすと痛みが強くなる | 首の骨の変形や椎間板の変性が原因 |
腱板断裂 | 肩の痛み、腕を上げにくい、夜間痛 | 他動的に腕を上げてもらうことはできるが、自分では腕を上げることが難しい場合がある |
石灰沈着性腱板炎 | 激しい肩の痛み、運動制限、夜間痛 | レントゲン検査で石灰の沈着を確認できる |
これらの病気以外にも、肩関節周囲炎や関節リウマチなどが五十肩と似た症状を引き起こすことがあります。自己判断は危険ですので、肩に痛みや違和感を感じたら、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
7. 五十肩の治療法
五十肩の治療は、痛みや炎症を抑え、肩関節の動きを改善することを目的として行います。基本的には保存療法が中心となりますが、症状が重い場合や保存療法で効果が見られない場合は、手術療法が検討されることもあります。
7.1 保存療法
保存療法には、薬物療法、リハビリテーション、注射などがあります。
7.1.1 薬物療法
痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や消炎鎮痛剤などの内服薬が用いられます。また、湿布などの外用薬も効果的です。痛みが強い場合には、神経ブロック注射を行うこともあります。
7.1.2 リハビリテーション
肩関節の動きを改善するために、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法を行います。理学療法士の指導のもと、個々の症状に合わせた適切な運動プログラムを実施することが重要です。温熱療法や電気療法などの物理療法を併用することもあります。
種類 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
ストレッチ | 肩関節周囲の筋肉を伸ばす運動 | 肩関節の柔軟性を高める |
筋力トレーニング | 肩関節周囲の筋肉を強化する運動 | 肩関節の安定性を高める |
温熱療法 | 温罨法やホットパックなど | 血行促進、疼痛緩和 |
電気療法 | 低周波治療器など | 疼痛緩和、筋緊張緩和 |
7.1.3 注射
痛みが強い場合や、炎症が強い場合には、肩関節内にヒアルロン酸やステロイドの注射を行うことがあります。ヒアルロン酸は関節の動きを滑らかにする作用があり、ステロイドは炎症を抑える作用があります。
7.2 手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、肩関節の拘縮が強い場合には、手術療法が検討されます。手術には、関節鏡手術や肩峰下減圧術などがあります。関節鏡手術は、小さな切開からカメラと器具を挿入して行う手術で、身体への負担が少ないのが特徴です。肩峰下減圧術は、肩峰と呼ばれる骨の一部を切除することで、肩関節の動きを改善する手術です。
五十肩の治療法は、症状の程度や進行状況、個々の状態によって異なります。適切な治療を受けるためには、専門家による診察と診断が必要です。自己判断で治療を行うのではなく、医療機関を受診し、適切な指導を受けるようにしましょう。
8. 五十肩の予防法
五十肩は、一度発症すると日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。だからこそ、日頃から予防を意識することが大切です。五十肩の予防には、肩関節の柔軟性を維持し、血行を促進することが重要です。具体的な予防法を以下に紹介します。
8.1 ストレッチ
肩関節周りの筋肉を柔らかく保つことで、五十肩の予防につながります。毎日継続して行うことが重要です。無理のない範囲で、気持ち良いと感じる程度で行いましょう。
8.1.1 肩甲骨を動かすストレッチ
肩甲骨を上下、内外、回旋させる動きを取り入れることで、肩関節の可動域を広げることができます。例えば、両腕を前に伸ばし、肩甲骨を寄せる、開くといった動きを繰り返したり、腕を回したりすることで効果が期待できます。
8.1.2 肩関節のストレッチ
腕を頭上に上げたり、後ろに回したり、横に伸ばしたりするストレッチは、肩関節の柔軟性を高めるのに効果的です。これらの動きを組み合わせ、様々な方向に肩関節を動かすようにしましょう。
ストレッチの種類 | 方法 | 回数 |
---|---|---|
腕回し | 両腕を大きく回します。前回し、後ろ回し両方行いましょう。 | 左右10回ずつ |
振り子運動 | 前かがみになり、リラックスした状態で腕を振り子のように前後に、左右に振ります。 | 1分程度 |
タオルストレッチ | タオルの両端を持ち、背中の後ろで上下に動かします。 | 10回程度 |
8.2 適度な運動
適度な運動は、血行促進や筋肉の強化につながり、五十肩の予防に効果的です。激しい運動は逆効果になる場合があるので、ウォーキングや水泳など、無理のない運動を選びましょう。
8.2.1 ウォーキング
ウォーキングは、特別な準備も必要なく手軽に始められる運動です。正しい姿勢を意識して、30分程度を目安に行うと良いでしょう。腕を大きく振ることを意識することで、肩甲骨周りの筋肉も動かすことができます。
8.2.2 水泳
水泳は、浮力によって肩関節への負担が少ないため、五十肩の予防に適した運動です。特にクロールや背泳ぎは、肩甲骨周りの筋肉を効果的に動かすことができます。自分のペースで無理なく続けることが大切です。
8.3 姿勢改善
猫背などの悪い姿勢は、肩関節に負担をかけ、五十肩のリスクを高める可能性があります。日頃から正しい姿勢を意識することで、五十肩の予防だけでなく、様々な身体の不調の改善にもつながります。
8.3.1 正しい姿勢のポイント
- 耳、肩、腰、くるぶしが一直線になるように立つ
- 顎を引く
- お腹に力を入れる
- 肩甲骨を寄せる
これらのポイントを意識し、常に正しい姿勢を保つように心がけましょう。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、軽いストレッチを行うと良いでしょう。
9. 日常生活での注意点
五十肩の痛みや症状を悪化させないためには、日常生活での注意点を守ることが重要です。適切なケアを行うことで、回復を促進し、再発を予防することができます。
9.1 衣服の着脱
五十肩を発症すると、腕を上げる、後ろに回すといった動作が困難になります。そのため、衣服の着脱にも苦労することがあります。
9.1.1 着脱のコツ
- 患側の腕を先に袖に通すようにしましょう。
- 脱ぐ時は、健康な側の腕から袖を抜くようにしましょう。
- 前開きの服や、ボタンやファスナーのないゆったりとした服を選ぶと着脱が楽になります。
- 着替えに便利な補助具を使用するのも良いでしょう。
9.1.2 衣服の選び方
- 窮屈な服や、腕を大きく動かさないと着られない服は避けましょう。伸縮性のある素材や、ゆったりとしたデザインの服を選びましょう。
- 重いコートやバッグは、健康な側の肩にかけましょう。リュックサックを使用するのも良いでしょう。
9.2 入浴
入浴は、血行を促進し、肩の筋肉をリラックスさせる効果があります。しかし、間違った入浴方法では、症状を悪化させてしまう可能性があります。湯船につかる際は、無理に肩を動かさないように注意しましょう。
9.2.1 入浴時の注意点
- シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりとつかりましょう。38~40℃程度の温度がおすすめです。
- 石鹸やタオルを使う際は、患部に負担をかけないように優しく洗いましょう。長時間の入浴は避け、10~15分程度を目安にしましょう。
- 入浴後は、身体を冷やさないように注意しましょう。
9.3 睡眠
睡眠中は、身体を休め、自然治癒力を高める大切な時間です。五十肩の痛みで睡眠不足になると、回復が遅れる可能性があります。
9.3.1 睡眠時の注意点
- 仰向けで寝るのがおすすめです。横向きで寝る場合は、患側を上にして抱き枕などを使用すると、肩への負担を軽減できます。
- 布団や枕の高さを調整し、肩や首に負担がかからないようにしましょう。
- 痛みが強い場合は、痛み止めを服用したり、患部を冷やすと良いでしょう。
9.4 運転
五十肩を発症すると、ハンドル操作やバックミラーの確認が難しくなる場合があります。無理に運転すると事故につながる危険性があるので注意が必要です。
9.4.1 運転時の注意点
- 痛みが強い時は運転を控えましょう。
- 運転する際は、こまめに休憩を取り、肩を休ませましょう。
- シートの位置やハンドルの高さを調整し、運転しやすい姿勢を保ちましょう。
- バックミラーの確認がしづらい場合は、補助ミラーを取り付けるのも良いでしょう。
9.5 家事
日常生活で欠かせない家事も、五十肩を発症すると困難になることがあります。無理をして家事を行うと、症状を悪化させる可能性があります。
家事の種類 | 注意点 |
---|---|
洗濯 | 洗濯物を干す際は、無理に腕を伸ばさないようにしましょう。 洗濯カゴは、高すぎない位置に置きましょう。 洗濯機の操作は、健康な側の腕で行いましょう。 |
掃除 | 掃除機をかける際は、軽い力で行いましょう。 高い所の掃除は、家族に手伝ってもらうか、無理のない範囲で行いましょう。 重いものを持ち上げる必要がある場合は、両手で持つか、台車などを使用しましょう。 |
料理 | 軽い調理器具を使用しましょう。 高い所の物を取るときは、踏み台を使用しましょう。 長時間同じ姿勢を続けないように、こまめに休憩を取りましょう。 |
これらの日常生活での注意点を守り、適切なケアを続けることで、五十肩の症状を改善し、快適な生活を送ることができるでしょう。
10. まとめ
五十肩は、40~50代に多く発症する肩関節の痛みや運動制限を伴う疾患です。加齢による組織の老化や肩関節の使いすぎ、姿勢の悪さ、ホルモンバランスの変化、糖尿病などの基礎疾患、ストレス、遺伝的要因などが原因として考えられます。特に両肩に五十肩が起こる場合は、加齢や姿勢、生活習慣の影響がより強く疑われます。五十肩は自然に治癒することもありますが、適切な治療を行うことで症状の改善や早期回復が期待できます。日常生活では、ストレッチや適度な運動、正しい姿勢を保つよう心がけ、予防に努めましょう。また、五十肩と似た症状の病気もあるので、自己判断せず、医療機関への相談も検討してください。お困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
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