「朝起きるのがつらい」「座っていると腰が重くなる」「立ち仕事で腰が張る」など、慢性的な腰の痛みに悩んでいませんか?日々の生活に大きな影響を与える腰痛は、本当に辛いものです。しかし、古くから伝わる東洋医学の知恵「お灸」が、そのつらい腰痛を和らげる希望となるでしょう。この記事では、お灸がなぜ腰痛に効果的なのか、その血行促進や鎮痛効果といったメカニズムから、自宅で手軽に実践できる「腰痛に本当に効くツボ5選」を、探し方や刺激のポイントとともに詳しくご紹介します。さらに、お灸を安全に行うための正しいやり方や注意点、そしてお灸の効果をさらに高めるための生活習慣まで、腰痛改善に役立つ情報を網羅的にお伝えします。この記事を読めば、つらい腰痛から解放され、快適な毎日を取り戻すための一歩を踏み出すための知識と方法を身につけることができるでしょう。
1. つらい腰痛に悩むあなたへ お灸がもたらす希望
毎日の生活の中で、「腰が重い」「ズキズキと痛む」「立ち上がるのがつらい」といった腰痛に悩まされていませんか。朝起きるたびに感じる不快感、仕事中の集中力の低下、家事や育児の際の動作の制限など、腰痛は私たちの生活の質を大きく低下させてしまいます。
「もうこの痛みとは一生付き合っていくしかないのか」と諦めかけている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、どうかご安心ください。古くから伝わる東洋医学の知恵であるお灸が、あなたのつらい腰痛に新たな希望をもたらす可能性があります。
お灸は、体の巡りを整え、温めることで、私たち自身が持つ自然治癒力を高めることを目指します。薬に頼らず、体への負担が少ない方法で痛みの緩和や体質の改善を目指せるため、多くの方に注目されています。
この記事では、腰痛に効果的なお灸のメカニズムから、自宅で手軽に試せる具体的なツボ、そして安全で正しいお灸のやり方まで、詳しくご紹介いたします。お灸の正しい知識を身につけ、ご自身の体と向き合うことで、つらい腰痛から解放され、快適な毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
2. お灸とはどんなもの 腰痛改善のメカニズム
つらい腰痛に悩む方にとって、お灸は古くから伝わる伝統的なアプローチとして知られています。この章では、お灸がどのようなものなのか、そしてなぜ腰痛の改善に役立つのかを、その歴史と東洋医学の視点から深く掘り下げていきます。
2.1 お灸の歴史と東洋医学の考え方
お灸は、数千年の歴史を持つ東洋医学の重要な治療法の一つです。その起源は古代中国に遡り、日本には飛鳥時代から奈良時代にかけて伝わったとされています。以来、民間療法として、また専門的な施術として、多くの人々の健康を支えてきました。
東洋医学では、私たちの体には「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素が巡り、これらがバランス良く保たれることで健康が維持されると考えられています。これらの要素は「経絡(けいらく)」と呼ばれるエネルギーの通り道を通って全身に供給され、その経絡上には「ツボ(経穴)」と呼ばれる反応点が存在します。
腰痛もまた、東洋医学では単なる筋肉の痛みとしてではなく、「気」「血」「水」の巡りが滞ったり、体が冷えたりすることで生じると考えられます。特に、冷えや血行不良は腰の筋肉を硬くし、痛みを引き起こす大きな要因です。お灸は、これらのツボを温めることで、体内のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。
2.2 なぜお灸が腰痛に効くのか 血行促進と鎮痛効果
お灸が腰痛に効果をもたらすメカニズムは、主にその温熱刺激と、それが体に与える多角的な影響にあります。お灸の熱は、皮膚を通して深部の組織にまで伝わり、様々な生理的な反応を引き起こします。
まず、お灸の温熱効果は、血管を拡張させ、血行を促進する働きがあります。腰の筋肉が硬くなったり、痛んだりする原因の一つに、血行不良による酸素や栄養の不足、そして老廃物の蓄積が挙げられます。お灸で温めることで、これらの老廃物の排出が促され、新鮮な酸素や栄養が供給されるようになります。これにより、凝り固まった筋肉が緩み、痛みが和らぐ効果が期待できます。
また、お灸の温かい刺激は、痛覚神経に作用し、痛みの伝達を抑制すると考えられています。熱による刺激が脳に伝わることで、本来の痛みの感覚が薄れるというメカニズムです。さらに、お灸によるリラックス効果も、痛みの感じ方を和らげる上で重要です。温かくて心地よい刺激は、副交感神経を優位にし、心身の緊張を解きほぐします。ストレスや精神的な緊張も腰痛を悪化させる要因となるため、このリラックス効果は腰痛改善に大きく貢献すると言えるでしょう。
お灸が腰痛に働きかける主なメカニズムを以下にまとめました。
| 主な効果 | メカニズム | 腰痛への影響 |
|---|---|---|
| 血行促進 | 温熱により血管が拡張し、血流が改善されます。 | 筋肉への酸素・栄養供給が増え、老廃物の排出が促され、筋肉の緊張が緩和し、痛みが軽減します。 |
| 鎮痛効果 | 温熱刺激が痛覚神経に作用し、痛みの伝達を抑制します。 | 痛みの感覚が和らぎ、炎症反応の緩和にもつながります。 |
| リラックス効果 | 心地よい温かさが副交感神経を優位にし、心身の緊張を解きほぐします。 | ストレスによる筋肉の硬直が和らぎ、痛みの感じ方が軽減されます。 |
| 自己治癒力の向上 | ツボへの刺激が全身のバランスを整え、体の持つ回復力を高めます。 | 体の不調が改善され、腰痛の根本的な原因へのアプローチを助けます。 |
3. 腰痛を和らげるお灸のツボ5選 症状別のおすすめツボ
腰痛は、その原因や症状によって適切なツボが異なります。ここでは、代表的な腰痛の症状に効果が期待できるツボを5つ厳選し、それぞれのツボがどのような腰痛に適しているのか、具体的な位置とあわせてご紹介します。
3.1 ツボの探し方と刺激のポイント
お灸の効果を最大限に引き出すためには、正確なツボの位置を見つけることが大切です。ツボは、体の表面にある特定の反応点であり、押すと少しへこんでいたり、他の部分よりも敏感に感じたり、軽い痛みや心地よい響きを感じたりすることがあります。指の腹でゆっくりと探り、「ここだ」と感じるポイントを見つけましょう。
ツボを刺激する際は、「心地よい」と感じる程度の熱さを目安にしてください。熱すぎると感じたらすぐに中断し、無理は禁物です。また、同じツボに毎日お灸をすることで、より効果が持続しやすくなります。慣れてきたら、複数のツボを組み合わせて使うことで、さらに効果を高めることも可能です。
3.2 腰痛の代表的なツボ1 腎兪
慢性的な腰の痛みやだるさ、特に冷えからくる腰痛にお悩みの方におすすめしたいのが「腎兪(じんゆ)」です。
| ツボの名前 | 位置 | 効果・適応症状 |
|---|---|---|
| 腎兪(じんゆ) | へその高さで、背骨から左右に指2本分(約3cm)外側にあるツボです。 | 慢性的な腰痛、腰の冷え、重だるさ、疲労感、排尿に関する不調など。 |
腎兪は、東洋医学で「腎」の働きと深く関連すると考えられています。腎は生命力の源であり、腰の健康にも大きく影響するとされています。このツボを温めることで、腰の血行が促進され、冷えが和らぎ、腰の奥からくるだるさや痛みの緩和が期待できます。特に、寒い時期や冷房の効いた場所で腰痛が悪化する方に試していただきたいツボです。
3.3 腰痛の代表的なツボ2 大腸兪
腰の張りや鈍い痛み、特に便秘に伴う腰痛や下腹部の不調を感じる方には「大腸兪(だいちょうゆ)」がおすすめです。
| ツボの名前 | 位置 | 効果・適応症状 |
|---|---|---|
| 大腸兪(だいちょうゆ) | 骨盤の一番高い位置を結んだ線と背骨が交わる点から、左右に指2本分(約3cm)外側にあるツボです。 | 腰の張り、鈍痛、便秘に伴う腰痛、下腹部の不調、下半身の冷えなど。 |
大腸兪は、その名の通り大腸の働きと密接に関わっています。消化器系の不調が腰痛を引き起こすことも少なくありません。このツボにお灸をすることで、大腸の働きが整えられ、便通の改善につながることが期待できます。また、下半身の血行促進にも役立ち、腰全体のこわばりや重さを和らげる効果も期待できます。
3.4 腰痛の代表的なツボ3 志室
腎兪と同様に、慢性的な腰の重だるさや冷え、広範囲にわたる腰の痛みに効果が期待できるのが「志室(ししつ)」です。
| ツボの名前 | 位置 | 効果・適応症状 |
|---|---|---|
| 志室(ししつ) | 腎兪からさらに左右に指2本分(約3cm)外側、つまり背骨から指4本分(約6cm)外側にあるツボです。 | 腎兪と似た効果に加え、腰全体の重だるさ、慢性腰痛、冷え、疲労感など。 |
志室は、腎兪と並んで「腎」の機能をサポートする重要なツボとされています。腎兪と志室は近い位置にあるため、両方に同時にお灸をすることで、腰全体の血行が促進され、より広範囲の腰痛や冷えの改善が期待できます。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続き、腰全体が重く感じるときに試してみてください。
3.5 腰痛の代表的なツボ4 委中
腰から離れた場所にあるツボですが、ぎっくり腰のような急性の腰痛や坐骨神経痛に効果的なのが「委中(いちゅう)」です。
| ツボの名前 | 位置 | 効果・適応症状 |
|---|---|---|
| 委中(いちゅう) | 膝の裏側、ちょうどくぼみの中央にあるツボです。 | 急性の腰痛、ぎっくり腰、坐骨神経痛、足のしびれ、膝の痛み、ふくらはぎの張りなど。 |
委中は、腰から足にかけて走る重要な経絡(ツボの通り道)上に位置しており、腰の緊張を緩め、痛みを和らげる効果が期待できます。特に、腰を動かすと激しい痛みが走るような急性期の腰痛や、お尻から足にかけてのしびれや痛みがある場合に試すと良いでしょう。腰に直接お灸をするのが難しい場合でも、このツボであれば比較的簡単にアプローチできます。
3.6 腰痛の代表的なツボ5 陽陵泉
筋肉の痙攣やこわばり、足の痛みやしびれ、特に腰の側面から足にかけての痛みに効果的なのが「陽陵泉(ようりょうせん)」です。
| ツボの名前 | 位置 | 効果・適応症状 |
|---|---|---|
| 陽陵泉(ようりょうせん) | 膝の外側、腓骨(ひこつ)という骨の先端のすぐ下にあるくぼみに位置します。 | 筋肉の痙攣、こわばり、足の痛みやしびれ、特に腰の側面から足にかけての痛み、膝関節の不調など。 |
陽陵泉は、東洋医学で「筋会(きんえ)」と呼ばれ、全身の筋肉の働きを調整する重要なツボとされています。このツボにお灸をすることで、腰や足の筋肉の緊張が和らぎ、痛みやしびれの緩和が期待できます。スポーツなどで筋肉を酷使した後の腰痛や、長時間歩いた後の足の疲れからくる腰の重さにも効果的です。委中と同様に、腰から離れたツボですが、腰痛改善に欠かせないツボの一つです。
4. お灸の正しいやり方 自宅で安全に実践する手順
ご自宅で安全にお灸を行うための具体的な手順と、注意すべき点について詳しく解説します。初めての方でも安心して実践できるよう、基本的な知識から丁寧にご説明します。
4.1 お灸の種類を知る 台座灸と棒灸
お灸にはいくつかの種類がありますが、ご自宅でのセルフケアに広く使われているのは主に「台座灸」と「棒灸」の2種類です。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合ったものを選びましょう。
4.1.1 台座灸
台座灸は、もぐさを紙製の台座に乗せた状態で販売されている、最もポピュラーなお灸です。台座があるため、肌に直接もぐさが触れることがなく、やけどのリスクを軽減しながら手軽に利用できるのが特徴です。
台座灸には、火を使うタイプと、火を使わずに温熱効果を得られるタイプがあります。火を使うタイプでも、煙が少ないものや、香りが控えめなものなど、様々な製品が流通しています。ご自身の好みや環境に合わせて選ぶことができます。
4.1.2 棒灸
棒灸は、もぐさを棒状に固めたお灸です。火をつけた棒灸を皮膚から少し離してかざすことで、じんわりと温熱刺激を与えます。直接肌に触れないため、やけどの心配が少なく、広範囲を温めたい場合や、皮膚が敏感な方にも適しています。
棒灸は、ご自身で距離を調整しながら温めることができるため、熱さの感覚に合わせて刺激の強さをコントロールしやすいという利点があります。
4.2 お灸の準備と基本的な手順
お灸を始める前に、必要なものを揃え、正しい手順で安全に実施しましょう。
4.2.1 準備するもの
| アイテム | 目的 |
|---|---|
| お灸(台座灸または棒灸) | 温熱刺激を与える本体です。 |
| ライターまたはマッチ | お灸に火をつけるために使います。 |
| 灰皿または耐熱皿 | 燃えかすや灰を受け止め、安全に処理するために必要です。 |
| 水を入れたコップ | 万が一のやけどや、お灸を完全に消火するために用意します。 |
| 濡らしたタオル | やけどを負った際にすぐに冷やせるよう、手元に準備しておくと安心です。 |
| ツボを確認するための鏡やマーカー(必要に応じて) | 背中など、ご自身でツボが見えにくい場合に役立ちます。 |
4.2.2 お灸の基本的な手順(台座灸の場合)
ここでは、自宅で最も手軽に利用できる台座灸を例に、基本的な手順を説明します。
- ツボの位置を確認する
前章でご紹介したツボの位置を、ご自身の体で正確に確認します。必要であれば、鏡を使ったり、マーカーで印をつけたりすると良いでしょう。 - お灸を台座から剥がす
台座灸の底にあるシールを剥がし、ツボに貼る準備をします。 - ツボにお灸を貼る
ツボの位置に、台座の穴が肌に触れるようにしっかりとお灸を貼ります。 - お灸に火をつける
ライターやマッチで、もぐさの先端に火をつけます。火が均等に回るように、ゆっくりと着火させましょう。 - 温熱刺激を感じる
お灸が燃え始めると、じんわりとした温かさを感じます。熱すぎると感じたら、すぐに中止し、お灸を取り除いてください。我慢は禁物です。心地よい温かさが数分間続きます。 - お灸を消火・処理する
お灸が燃え尽きるか、熱さが不快になったら、お灸を剥がします。剥がしたお灸は、水を入れたコップに入れて完全に消火するか、灰皿の上で燃え尽きるのを待ち、冷めてから適切に処理してください。
一般的に、1つのツボにつき1回のお灸を、1日に1~3箇所程度、週に2~3回の頻度で行うのが目安とされています。ただし、ご自身の体調や症状に合わせて調整してください。
4.2.3 お灸の基本的な手順(棒灸の場合)
棒灸は、肌に直接貼らずに温めるため、台座灸とは異なる手順で使います。
- ツボの位置を確認する
台座灸と同様に、温めたいツボの位置を正確に確認します。 - 棒灸に火をつける
棒灸の先端にライターやマッチで火をつけ、赤く燃えていることを確認します。 - ツボにかざして温める
火をつけた棒灸を、ツボから2~3cm程度離した位置にかざし、温熱刺激を与えます。熱すぎないよう、常に熱さの感覚に注意を払い、距離を調整してください。 - 心地よい温かさを感じる
じんわりと温かさが伝わってくるのを感じながら、数分間温めます。温めすぎに注意し、熱さが不快になったらすぐに中止しましょう。 - 棒灸を消火・処理する
使用後は、火のついた部分を灰皿などに押し付けたり、専用の消火器を使用したりして、完全に火が消えたことを確認してから保管または処理してください。
棒灸も台座灸と同様に、1日に1~3箇所程度、週に2~3回の頻度を目安に行うのが一般的です。
4.3 お灸をする際の注意点と禁忌事項
お灸は適切に行えば効果的ですが、安全に実施するためにはいくつかの注意点と、お灸を避けるべき状況(禁忌事項)を理解しておくことが大切です。
4.3.1 お灸をする際の注意点
- 熱さを我慢しない
お灸は心地よい温かさが理想です。熱い、痛いと感じたら、すぐに中止してください。やけどの原因となります。特に台座灸は、台座が熱くなりすぎることがあります。 - やけどに注意する
皮膚が敏感な方や、同じ場所に何度も行う場合は、やけどのリスクが高まります。皮膚の状態をよく観察し、赤みや水ぶくれが生じないか確認しましょう。万が一やけどをしてしまった場合は、すぐに冷水で冷やし、必要であれば専門家にご相談ください。 - 換気を十分に行う
火を使うお灸は煙が出ます。締め切った部屋で行うと、煙が充満し、気分が悪くなることがあります。必ず換気の良い場所で行いましょう。 - 食後すぐや飲酒後は避ける
食後すぐや飲酒後は、血行が促進されすぎて気分が悪くなることがあります。食後30分以上空け、飲酒時は避けてください。 - 体調が悪い時は控える
発熱時や体調がすぐれない時は、お灸を控えてください。体が疲れている時に行うと、かえって負担になることがあります。 - 眠気やだるさに注意する
お灸の後に、眠気やだるさを感じることがあります。これは「好転反応」と呼ばれるもので、体が変化しているサインとも言われますが、無理せず休憩を取りましょう。
4.3.2 お灸の禁忌事項
次のような場合は、お灸を避けるか、事前に専門家にご相談ください。
- 妊娠中の方
特に妊娠初期や特定のツボへのお灸は、体調に影響を与える可能性があります。必ず専門家にご相談ください。 - 皮膚に異常がある部位
傷口、炎症、化膿している部分、皮膚疾患がある部位、アレルギー反応を起こしやすい部位にはお灸をしないでください。 - 発熱時や急性炎症時
体が熱を持っている時や、ぎっくり腰などの急性炎症が起きている時は、症状を悪化させる可能性があります。 - 泥酔している時
熱さの感覚が鈍くなり、やけどのリスクが高まります。 - 心臓病や高血圧などの持病がある方
血行が促進されることで、持病に影響を与える可能性があります。事前に専門家にご相談ください。 - 乳幼児や感覚が鈍い方
熱さの感覚を正確に伝えられないため、やけどのリスクが高まります。 - 目の周りや粘膜、大きな血管の上
これらのデリケートな部位にはお灸をしないでください。
ご自身の体質や健康状態に不安がある場合は、お灸を始める前に必ず専門家にご相談いただくことをお勧めします。
5. お灸の効果をさらに高める生活習慣
お灸によるケアは、つらい腰痛の緩和に大変有効ですが、その効果をさらに高め、持続させるためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。ここでは、腰痛の予防や改善につながる生活習慣のポイントをご紹介します。
5.1 腰痛を予防するストレッチと姿勢
腰痛は、日頃の姿勢や体の使い方が大きく影響します。お灸で体を温め、血行を良くした後は、筋肉の柔軟性を保ち、正しい姿勢を意識することで、腰への負担を軽減し、腰痛の再発を防ぐことができます。
5.1.1 腰痛を和らげるストレッチ
無理のない範囲で、毎日少しずつでも継続することが大切です。特に、股関節やお尻、太ももの裏側といった、腰と連動して硬くなりがちな部位のストレッチがおすすめです。痛みを感じたらすぐに中止し、呼吸を止めず、ゆっくりと心地よい範囲で行ってください。
| ストレッチの種類 | 期待できる効果 | ポイント |
|---|---|---|
| 猫のポーズ | 背骨と体幹の柔軟性を高め、腰回りの筋肉の緊張を和らげます。 | 四つん這いになり、息を吐きながら背中を丸め、息を吸いながら背中を反らせます。腰を反らしすぎないよう注意してください。 |
| お尻のストレッチ(梨状筋) | お尻の深部にある筋肉の柔軟性を向上させ、坐骨神経への圧迫を軽減します。 | 椅子に座り、片方の足首をもう片方の膝に乗せ、背筋を伸ばしたままゆっくりと上体を前に倒します。お尻の伸びを感じましょう。 |
| 太もも裏のストレッチ(ハムストリングス) | 硬くなりがちな太もも裏の筋肉を伸ばし、骨盤の傾きを整え、腰への負担を軽減します。 | 仰向けに寝て、片方の膝を立て、もう片方の足を天井に向けて伸ばし、両手で太ももの裏を抱え、ゆっくりと引き寄せます。 |
5.1.2 正しい姿勢を意識する
日中の立ち方、座り方、そして夜の寝方まで、常に正しい姿勢を意識することが腰痛予防の基本です。長時間同じ姿勢を続けることは避け、こまめに休憩を取り、体を動かすように心がけましょう。
- 立ち姿勢: 耳、肩、股関節、くるぶしが一直線になるようなイメージで、重心を足の裏全体に均等に乗せます。お腹を軽く引き締め、背筋を伸ばしましょう。
- 座り姿勢: 椅子に深く腰掛け、骨盤を立てるように意識します。足の裏全体を床につけ、膝の角度が90度になるように調整します。パソコン作業などで前傾姿勢になりがちな場合は、椅子の背もたれを適切に使い、腰への負担を減らしましょう。
- 寝姿勢: 仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを入れ、腰の反りを和らげると楽になります。横向きで寝る場合は、膝を軽く曲げ、膝の間にクッションを挟むと、骨盤の歪みを防ぎやすくなります。
5.2 体を温める食事と入浴
東洋医学では、「冷えは万病のもと」と言われます。体が冷えると血行が悪くなり、筋肉が硬直しやすくなるため、腰痛を悪化させる原因となります。お灸で外から温めるだけでなく、内側からも体を温めることを意識しましょう。
5.2.1 体を温める食事
日々の食事で体を温める食材を取り入れることは、血行促進に繋がり、腰痛の緩和に役立ちます。冷たい飲み物や食べ物の過剰な摂取は避け、温かい食事を心がけましょう。
| 食材の種類 | 代表的な食材 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 根菜類 | ごぼう、にんじん、れんこん、大根、生姜、にんにく | 体を芯から温め、血行を促進します。特に生姜やにんにくは、血行促進作用が強いとされています。 |
| 発酵食品 | 味噌、納豆、キムチ、漬物 | 腸内環境を整え、基礎代謝の向上に繋がり、体温維持を助けます。 |
| 香辛料 | 唐辛子、胡椒、シナモン | 少量でも体を温める効果が期待できます。料理のアクセントとして取り入れましょう。 |
これらの食材を積極的に取り入れ、バランスの取れた食生活を心がけてください。温かいスープや煮込み料理は、体を温めるのに特に効果的です。
5.2.2 効果的な入浴方法
シャワーだけで済ませず、毎日湯船にゆっくり浸かる習慣をつけましょう。入浴は全身の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげるだけでなく、心身のリラックスにも繋がります。
- 湯温と時間: 38℃から40℃程度のぬるめのお湯に、10分から20分ほどゆっくりと浸かるのが理想的です。熱すぎるお湯はかえって体を疲れさせてしまうことがあります。
- 入浴剤の活用: 生姜エキスや炭酸ガスなど、血行促進効果が期待できる入浴剤を使うと、さらに温浴効果が高まります。香りの良い入浴剤は、リラックス効果も高めてくれます。
- 湯冷め対策: 入浴後は体が冷えないよう、すぐに体を拭き、温かい服装を心がけましょう。特に冬場は、入浴後の冷えに注意が必要です。
お灸によるセルフケアと合わせて、これらの生活習慣を見直すことで、腰痛の根本的な改善と予防に繋がり、つらい腰痛に悩まされない快適な毎日を送ることができるでしょう。
6. まとめ
本記事では、つらい腰痛にお悩みの方へ、お灸を用いたセルフケアの方法をご紹介しました。
お灸は、古くから伝わる東洋医学の知恵であり、血行促進や鎮痛効果を通じて、つらい腰痛の緩和に役立つことが期待できます。ご紹介した「腎兪」「大腸兪」「志室」「委中」「陽陵泉」といったツボを正しく刺激し、生活習慣を見直すことで、ご自宅でも安全に腰痛ケアに取り組むことが可能です。
大切なのは、焦らずに継続することです。毎日少しずつでもお灸を続けることで、体質改善へと繋がり、腰痛の根本的な解決に近づくでしょう。お灸は、ご自身の体を労り、自然治癒力を高めるための素晴らしい手段です。
しかし、セルフケアだけでは改善が見られない場合や、症状が悪化するような場合は、無理をせず専門家にご相談ください。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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